hahajimaLife


       どんなに揺れても倒れることはない



    朝になった。船室で目覚めた。何か重苦しい朝である。母島に比べると父島は50キロほど北にある。心なしか寒い感じがする。



    天気のせいだろうか?
    今日の出港は 荷物の積込具合によって変わるという。”おはようございますぅ”

    なんでも天気が悪くなり 海が荒れそうなので、なるべく早く出港したいらしい。共勝丸は貨物船なので、おが丸とは違い、、出港時間などは決まっていないのである。朝から仕事を始めて 積み込みが終われば出港する。海が荒れれば退避してしまうから、いつ入港するのかも状況次第ではっきりとはしていない。途中で海が荒れれば、近くの港に避難してしまい 数日足止めを食う何てぇ事は 結構あるらしい。





    そういえば 昨晩には隣に停泊していた船は、もう居ない。どこかの建設会社の船らしいが、朝早く、、早々に出ていった。やはり海が荒れる前に、、っと、大急ぎで出ていったのだろうか?
    荷物は余り多く無く、ゴミがほとんどのようだ。フォークリフトが動き回り 波止場のあちこちに置いてある荷物を持ってきては、共勝丸のクレーンで引き上げていく。
    クレーンはどのくらいの物まで上げられるのだろうか? 母島では工事用の重機まで上げていたから、無敵という感じである。手際よくワイヤーが掛けられて、吊り上げられていく。
    このヒヨドリは ここがお気に入りのようだ。さっきからココに陣取って鳴いている。





    出港は10時なったようだ。その前に9時には 植物検疫がある。植物検疫と言っても大したことはなく、”えっと 何か植物とか土とかを持っていますか?”っと聞かれるから、”持ってません”っと答えるだけでいい。持っていると、検査をしなくてはならないらしい。
    ここが共勝丸の貨物取扱所。ここで事務手続きをする。船賃は18000円。チケットとかそう云ったものはない。ただお金を払うだけである。そしてノートに 住所と名前を記入する。手続きと言ってもそれだけである。



    ”あのぉ〜 もう聞いているとは思いますが、揺れますから”

    っと、しわしわのがたいのいいじいさんに念を押される。陸の人間という感じには見えないから、前は共勝に乗っていたのだろうか?必要なら薬局で酔い止めの薬を買って飲んでおいた方が良いという。”薬は2時間で効いてくるから、今飲んでおけば具合がいい”という。とっても温和な感じの老人で、優しく親切だ。
    ううむ、どうしようかな?? っとも思うが、、

    ”そんなに揺れるんですかね? 昨日母島から来たときも揺れたけど、、、?”





    ”あんなモンじゃぁ〜ない”





    これが 一番揺れたとき。っと言いながら、何枚もの写真を見せてくれる。
    ”大丈夫、どんなに揺れても倒れることはない”という。

    確かに海面が異様な角度に見えている。





    まぁ 薬無しでやってみようかな?



    ”まぁ、貨物船はたくさんあるが お客が乗れる貨物船は この船だけだから、貴重な経験だよ。楽しんで下さいな。”
    もうあまり時間はない。出港までの間に買物を済ませなくてはならない。ところが 今日はおが丸の入港日なので、スーパーには商品が少なく、生鮮品は皆無である。おが丸の入港時間が、、予定どおりで10時半だから、、これは丁度タイミングが悪い。一番商品の無い時間帯なのである。こりゃぁ〜まいった。フルーツでも買っておけば、、、っと思っていたのだが、仕方ないのでヨーグルトやら牛乳やらを購入する。冷蔵庫があるから こういったものは買いやすい。入港前だから 賞味期限ギリギリの商品が”お買い得!”で買えた。そして カップラーメンは欠かせない。もしかしたら食えないかも知れないが、逆に何日も足止めを食らうかも知れない。だから 買っておくに越したことはない。パンもない。煙草も買っておこう。それからビール。焼酎は母島から持ってきたから充分だ。



    おみやげも買わなくてはならないが、時間が早すぎて店はほとんどやっていない。だいたい入港日の入港前なんて、、買物する人は皆無である。入港すれば観光客もやってきて、土産物屋も人が入るが、今はゆっくりと 準備をしているような状態なのだ。

    農協に行き、小笠原唐辛子を購入。硫黄島唐辛子ともいわれるヤツで、めっちゃんこ小さいトウガラシなのだが、、、これがめちゃくちゃ辛いのである。見た目はチンケだが、おみやげにはこれが一番手軽である。あとは、小笠原の塩。これもいい。ジャムやらフルーツジュースというのもある。クッキーやらなんちゃらの 土産物の定番のものもあるのだが、実は小笠原にはこうしたものを作る工場はない。だから”小笠原みやげ!”っといいながら、実は内地から持ち込んできたものにシールを貼り付けただけである。イルカやクジラのジャーキーやら佃煮みたいなものもあるが、小笠原では捕鯨はやっていない。だから、どこか他から持ってきたものである。

    最近テレビで扱われたからはちみつの人気が高いというが、時期外れなのと問い合わせが殺到してしまっていて とてもじゃないが入手は出来ない。なんでも農家によって味が違うようで、人気のある農家のはちみつは、順番待ちが2年待ちの状態だそうだ。
    いよいよ積み込みが終わり、激しい音をたてながら荷室には蓋がされた。



    たぶん、いよいよである。



    共勝丸の航行には食事もついている。18000円でしかも所くじ付きなのである。これは とってもお買い得だ。ただし”食えれば!”という条件がつくのであるが、、、、しかし、食事が付くのは今晩の夕食からである。だから、とりあえず昼飯は用意しなくてはいけない。具合良く波止場の近くでパン屋を発見し、パンも買えた。さらにここにはお弁当もあり、、どうしようかなぁ??っと思ったが、買ってしまった。



    これで大丈夫! 準備ばんたんである。
                        

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