カヤックに乗って
今日は仕事はお休みにして、海がなぎっていて具合が良いようなら、思いきって母島一周をしようという話もしていた。片根さんが言うには 丁度ゆっくり一日くらいで、くるっと島を一周できるというのである。島の南端、南崎を回り込んでしまい東側に回り込めば、道の無い島の東面。東崎、大崩湾、石門山、、、と普通には見ることが出来ない場所を 見て回ることが出来る。考えただけでもつまらない訳が無い。わくわくしてきた。
残念なことに どうも今日のところも 海の具合は余り良くはない。どうやら この冬の時期には 海はあまり条件は良くはない。風が強く波が立つ。やっぱり海は夏が良いのかな? 仕方がないので片根さんとミウラーとダンプに乗って カヤックを楽しもうと北港までやってきた。ダンプの荷台にカヤックを乗せ、元地からはくねくねと曲がった一本道を終点まで辿る。細々とした道、ほとんど車の通ることはないのだが、狭いのでスピードも出せない。
ダンプというのは なにやら独特で運転がしづらく、排気ブレーキの具合なのだろうか? ミウラーが運転するも、がったんがったんとなってしまい乗り心地は最悪。おまけに島はアップダウンが激しいので 慣れないと難しいね。僕が運転を代り、今度は”うほほほ!! こっちは ずいぶん飛ばすね!”っと 片根さんも調子はいい。調子に乗って運転していると、、途中 夕日ケ丘の辺りで、戦闘機には乗っていなかったが 山本さん一行と鉢合わせし、急ブレーキ。あやうく正面衝突しそうになる。危ない危ない!
北港は母島の北の方、車道が通じている一番北にある。昔は北村の部落が有り400人ほどの人が住んでいたのだが、戦争の時 1944年に強制的に内地に疎開させられて以来人は住んではいない。クジラの解体工場やらカツオブシ?の加工場などもあったという。今では直線に延びる道の両側に、北村小学校の敷地後、、、と言っても数段の階段と門柱があるだけ、、、や、、、若干の住居跡の形跡が残るだけである。
今日も湾内の波は穏やかである。入江の外には激しい波が立っているのが見えているのだが、入り江の中までは入ってこない。北港の沖、母島と父島の間には、潮の流れが速い場所が有り、ここまで流されてしまうと、、、、いったいどこまで行ってしまうのだろうか? 周囲に漁船でもいて運よく発見されなければ、鮫の餌にでもなるしかないだろう。北港は非常に入り江が深く入組んでいるから、大きな波はやってこない。
いや、真北からだと 荒れるに違いない。しかし 北からの風が吹くことは滅多に無い。だから 条件が良いほとんどの日には、海遊びをするには絶好の場所である。三方は高い山に囲まれていて風も抜けにくい。それは東、南、西と太陽の通る方向に山があるからであり、だからお世辞にも 日当たりは良いとはいえない。だから すこし”薄ら寒い”感じはする。北港の夕方は、やたらと早くやってくる。
カヤックで大沢海岸まではすぐに到着する。北港の隣の浜である。歩くと一山越えなくてはいけないので 30分ほどかかるのだが、海から行けばすぐ。なるほど、カヤックというのは便利なものだ。この先、少しづつ入江の外に近づくに連れ風も出てきて波も出てくる。この辺りまででも充分に広い湾内を すいすいと移動していく。残念なのは 水面は光ってしまうので、あまり中の様子が見えないこと。カヤックでは 目の高さが高くなってしまうから、よっぽど身体が柔らかいか?しないと 水中を観察するのは難しいな。なにか良い手段はあるのだろうか?
東山の方へ回り込めば、幻の池、、?とかがあるらしい。北港と東港の間にある、、東山一帯には まだまだ自然が多く残っていて、こっちの方へは 登山道も整備されておらず、なかなか容易に入り込めない一帯である。東山までは 北港と東港の分岐の辺りに、うっすらとトレースがあるので これを辿れば着くらしい。また、北村小学校の裏手にある墓地から、、山の方へも道があるらしいのだが、、全く判然とはしない。
興味はあるのだが、歩いていくのは非常に困難なのである。しかしカヤックなら 容易に海岸を伝って行くことは可能そうである。しかしそっちに行くには 少しだけでも外海に出なくてはいけない。ミウラーは行きたそうであるが、、ううむ、今日のところは辞めておこうか。島の東側は 何故か?風が強く、波が高い。いや、実は西側には平島、向島が有るため、大きく島に囲まれた一帯は 波が穏やかなのである。
今の北港は静かだ。
古めかし桟橋の辺りには、ぴょこぴょこと跳ねる、妙な魚がたくさんいる。カエルウオとかいうんだっけ? これが 捕まえようとするとなかなか捕まらない。ナンじゃこりゃぁ〜???
観光客や島の人々がたまに訪れるくらいなものである。海に面した場所には しっかりしたあずま屋が建てられている。トイレもある。北港は大きく入組んだ入江になっていて波が穏やかで、辺りが山に囲まれているから 北方向以外からの風は少ない。
小笠原の海では年中泳げる。海開きは1月1日で、海は開けっぱなし。閉めることはない。さっきからアノールの女の子が泳いでる。”カメがいるよ!カメぇ!”っと叫んでいる。泳いでいるのを見ていると、なんだか楽しそうであり、泳いでみたくなる。僕は泳ぎは上手いほうではないのだが、折角来ているのだから泳いでみようかな?っと 歩きにくい石のゴロゴロした浜にまで行くが、ちょっとでも風が当たると そこそこ寒い。あっちの方では バーベキューをやっている人がいる。
やっぱやめておこうか?寒いなぁ、、、と思ったが、、ええい!入ってしまえ!!
一旦海に入ってみると そうは寒くかった。海は恐ろしいくらい綺麗で、割りに遠浅だ。いや 実は深いのだが、、、水が綺麗だから浅く感じるだけ?といえば そんな気もする。どちらにしても 足がつかなくなってしまえば同じといえば同じだね。海底には当たり前のように珊瑚がたくさんある。この時期には水温はひんやりするくらいで おまけに波は穏やかであるので 気分はいい。小笠原の海は塩分が強い。そのため僕のような泳ぎが上手くない人でも 浮くことが出来る。だから 思ったより簡単に浮いていられるし 泳ぐことが出来るのである。調子に乗って 沖の方まで出てみたり、、、是非泳いでみたらいい。とっても楽しい。今回は残念なのは水中目がねを持っていないので、海の中が良く眺められないこと。北港一帯ではアオウミガメと一緒に泳げる事が多いらしいのだが 塩分が強くて水中ではとても目を開けていられない。水中眼鏡やらシュノーケリングの道具が有れば、もっともっと楽しそうである。今度は絶対に持ってこなくっちゃ!
夕方になってきた。そろそろ陽がかげり、肌寒くなってきた。水辺の風は少し冷たい。
”ボチボチ帰ろうか”
カヤックは 沖港でもできる。前浜から出ていって、石次郎海岸や脇浜の辺りをぱしゃぱしゃっと いったり来たりするだけでも結構楽しい。もちろん波の具合がよい様子なら、入江の外にも出ていくことは可能だ。
海のなかには珊瑚が見えるし、魚もいる。入江の外の方へ出ていけば、水はますます澄んできて、良く見えるようになっていく。きっとかなり深いのだろう。でも、海底はすぐそこに感じられる。
あれ? 桟橋で誰かが叫んでいる。
”だれだろう?” なんか 手まで振って大騒ぎだな。何かあったのかな?辺りを見回してみる。”む??? げ!!”
ははじま丸がやってきたぁ。(";;;
”ボォォォぉ〜” 警笛を鳴らす。 うわ、こっちに来るじゃん。やばやば 早く逃げなくては!焦って漕いでも、、、漕いでも、、、あんまり進まない。小さい船だと思っていた はは丸も、こうして海面から見上げると巨大である。あんなのとぶつかったら、こりゃぁ〜たまらない。
なんとか逃げ切った。よかったな。
入り江の中は 船が通る。はは丸も通るが漁船も多い。だから 周囲の状況には注意していなくてはいけないんだな。
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山岳ライター・柏澄子の毎日。 ヒマラヤ山岳地域やチベット文化圏の民族、暮らし、文化などをテーマに執筆。仕事部屋の様子、取材の話、クライミングや登山、旅の話などなど。古満目に更新されています。見習わなくては。。。
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