hahajimaLife


       台風が来た



    本日は台風一過。

    強い台風のツメ跡は、島のあちこちに残っている。 農協の屋根は すこしだけだが剥がされてしまっていて、役場の前の公園にいるキリンを直撃したようだ。キリンには痛々しく傷が残っている。漁協のシャッターの所も剥がれてしまっている。

    しかし 物凄い台風だった。僕はタンバで夜中までテレビを見ながら 独りぼっちで飲んでいて、いいかげん酔っ払った時分に、やっとこ部屋に戻って眠った。それでも眠りは浅く、暑く、寝苦しい。うとうとしたという感じである。夜中中 すさまじく風の音、雨の音、、、そのうち なんだろう?っと思いながら 意識がなくなり、、やっぱ 眠っていたんだね。

    島の人達は慣れてしまっているのか? 別段慌てるでもない。既に平常を取り戻してしまっている。台風は夏のうちは沖縄の方を通るが、冬が近づくに連れて進路を東に変えてくる。本土ではこのおかげで、10月、11月と台風が直撃することはなくなってくるわけであるが、ここ小笠原は この変わってきた台風の進路に当たってしまうのである。だから この時期の台風直撃も それほど無い事ではないわけだ。しかし、大きな海の中の”ポツン”としたちっぽけな島に 狙い澄ましたように直撃するのは、非常に確率としては低いに違いない。

    この年は それでも台風直撃の時期が遅いらしい。そして 遅く来た台風の被害は 大きいんだと、とどむさんは言っていた。事実 この次の台風は、母島を直撃しなかったが、もっと南のグアムでは大暴れして、壊滅的な被害を出している。
    台風は大量の土砂を運んできたらしく、濁流が落ち着いた川には色々なものがたまっている。池さんのカヌーも流れている。



    乳房山の主稜線から西側で降った雨は、ぐるっと一回り囲むような尾根によって見事に集水されて乳房ダムに貯まる。そこからは 普段はほとんど流れの無い川を集落を通過して、海にと注ぐ。川の両岸は 綺麗にコンクリで固められていて、日常は必要以上の過剰装備のように見えるのだが、こうやって台風がやってくると、これがまぁ実に上手く作られている。

    島の中の なんでこんな?と感じる物体には 大抵意味が有り、これが結構 上手く出来ているのにはやたらに感心する。”不思議”は明かされてくると、島の生活にはとても具合よく出来ているのである。

    乳房山は少し”岩っぽい”ので 水はすぐ流れてしまい、乳房ダムに溜まる。対して荷揚げしている方、農業用のダムの方は土っぽいのか?すぐには水は溜まらないという。ただ その代わりになかなか涸れないんだそうだ。

    乳房ダムは島民の水道を一手に担っている。島民の水瓶。この間まで干上がりかけていた乳房ダムには恵みの雨となることだろう。あそこに貯まっている ちょいと?濁った、、あの水が、沖村で生活する人達の貴重な飲水ナンだよ。だから 島の人でも気になる人は 水道水は飲まなかったりする。そう、東京の都心と同じでミネラルウォーターを飲むんだ。

    前浜のはずれにある河口周辺には 土砂がたまってしまい、流れをせき止めてしまっている。おかげで出来上がった大きな水たまりでは、カモが気分良さそうに泳いでいる。 こいつら良く流されなかったなぁ。

    とどむさんは あっちこっちと走り回っていて、忙しそうだ。走ると言ったってあの身体だから、、、とっとっと、、って感じなのだが、、、町はちょっとした大騒ぎなのだ。ただ、どこか慣れたもんという雰囲気があり、処置は手際よく進んでいくのである。



    コーハツの目隠しされていたコンパネも やっとこ取り外され、再び室内は明るさを取り戻した。

    台風とは言っても、昨日の夜中の半分過ぎくらいからは、なにやらジャラジャラしたものが降っていた。”なんだろうか?”と思っていると どうやら この塩である。



    建物の外壁には塩がこびりつき、べたべたになっている。ホースで水をぶっ掛け、塩を洗い流しておこうと思う。ホースからの水が届かないところには、バケツに水を汲んで ちょこちょこと流しておけば べたべたしないので、まぁ僕に出来ることはこのくらい。要領が良くわからないから お手伝をしようにも訳がわからない。事態は結構パラレルに処理されていくから、段取りが悪いと足手まといになりそうである。島の人達のチームワークは相当なもので、隣ともお付き合いの無い内地の生活から見ると、なんとも素晴らしく見える。

    しかしまぁ、こんなに塩が降ってきてしまうと、車なんてのはすぐダメになってしまうだろうな。海の近くでは 内地でも当たり前のことなのだろうか?
    前浜のハイビスカスは塩にやられてしまっていて、葉っぱがチリチリ。いやハイビスカスだけでなく ほとんどの葉っぱが塩にやられてチリチリになってしまっている。

    少し落ち着いてきて ひとしきり見学を済ませると、僕の方も事態を見に行かなくてはならない。そろそろ下地も乾いてくるだろう。ボッカ道の具合も見に行かなくてはならないよなぁ。原チャリをとばして例の急坂を登っていく。林道の回りのアカギの木の葉っぱも落ちてしまっていて、妙にジャングルは明るい。深い緑のジャングルは、茶色の枯れた森になってしまっている。台風って とんでもなく凄いものだな。しかしこれでは農家はたまらないだろうな。折角出来た野菜も果物も、、おそらく台無しになる。過酷な自然環境だな。
    そういえば アフリカマイマイ。あいつらはカタツムリとかナメクジのようなものだから、こんなに塩が降ったらたまらないはずである。良く生き残ってるなぁ。台風一発で絶滅してしまいそうなもんだが、、、だいたい この島の土は”塩辛い”んじゃぁないのかな?

    良く生きてるよなぁ。





    相変わらずの急坂では バタバタ。







    ぶぅ〜ん。。
    材料置場に到着すると 余り代わり映えはしない。材料の上からかけておいたブルーシートは剥がされてしまって ぐちゃぐちゃになって固まっている。所が さすがに丸太は飛んでいっていない。いっそのこと強風に飛ばされてしまえば仕事をしなくても良いのでは?っと思っていたのだが そうは都合よく物事は運んでくれない。山盛りの材料は雨に濡れてしまい しっとりと、一段と重みを増している。仕方がないので豆腐に釘であるのだが、、、材料の丸太を広げて並べ、少しでも乾くようにと太陽の光が当たるように細工をするのである。確かに ホンの少しだけ乾いただけでも 身をもって感じるほど重さは変わるもので、こうした地味な細工も 実のところ全く無意味な訳でもないのである。

    さて、ボチボチ一便出してみる。やる気が出てこないなぁ。この一週間でなんとか歩きやすくなってきた道には 見事に落葉やら折れた枝が散乱している。これをまたひとつひとつ除けていく。もう一回やり直しなのである。”折角ちゃんとやって置いたのに、、、” 悔しいが仕方ない。普段は たくさんの葉を付けていて、薄暗くなっているはずのガジュマルの辺りも、葉っぱが落ちてしまっているので不自然に明るい。暫く行くとシュロがボキっと折れていたり、タコノ木は根元から倒れてしまっている。仕方がないので丸太を置いて、いちいちどけていく。足場を作っておいた急坂も ステップを作り直す。台風は、見事に全てをリセットしてくれている。

    登山道に出て稜線を行くと益々凄いことになっている。相変わらず葉っぱと折れた枝は多いから、これはいちいちどけておく。稜線では相当に風が強いらしく、ナンでこうなるのか?という位になっている。木々は折れたり曲がったり。特にあの狭くなっている場所は、さすがに風が抜けていくのだろう。枝がむちゃに出ている。また 枝同志引っ掛けたりして ナンとか通れる様にする。山はいつになく静かで、メグロたちは何処にいってしまったのだろうか? めっきり目にしない。どこか秘密の避難場所が有るのだろうか? この台風で死んでしまう動物もいるのではないだろうか? そういえば不思議であるのは この島にいてもメグロやメジロの死体はめっきり見たことが無い。一応動物だから寿命もあり、死ぬことも有るだろうが、、、? 死んだらすぐにネズミやらに食われてしまうのだろうか? 厳しい島である。ノボタンは結構頑丈そうである。ちゃんとしている。暫く行き、気分の良いシェルターのある手前までやってきたら、”なに?”

    太さが数十センチもあるような大きな木が倒れて 道を通せんぼしてしまっている。参ったな。ノコギリで分解して除けないと 重くて動きそうにない。仕方がないのでとりあえず脇を無理やり通り過ぎて、あとで切りに来よう。今日の2便目は そうするしかないよな。そうしてノコを持ってきた2便目で、木を切ってみてびっくりした。なんとも簡単に切れてしまうのである。
    ほほう、、、意外だな。そして持ってみてまたびっくり、非常に軽い。これでは強風が来ればすぐに折れてしまうではないか? やっぱりこの島には不思議なことが一杯有る。考えてもみれば大きな木は根っ子に支えられているわけだが、土が粘土質で根っ子が張りにくい。しかも枝はしっかり広がるから上ばかり、頭でっかちだ。大きく育った木は 台風で倒れ、また再び小さな木が育っていく。そういう繰返しをしている様子である。”木も面白そうだな”と思うのである。
                        
         
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    ●シンガーソングライター梅原司平公式サイト<PulanaNet>

    1946年富山県生まれ。全国を旅しながら音楽活動を続け、オリジナルアルバムなどを多数制作。心に響く魂の歌を全国に届けているシンガーソングライター梅原司平(うめはらしへい)さんの公式サイトです。穏やかに、しかし力強く、、、心が清らかに温かくなる司平さんの音楽に是非触れてみてくださいませ。公式サイトでは、最新のコンサート情報やCDなどの出版物の情報をお届けしています。
    また精力的な活動は音楽のみに留まらず、アジアチャイルドサポート「プラナ基金」では、梅原司平のファンの方々の寄付金やコンサートなどの収益金の一部を、NPO法人アジアチャイルドサポートを通じて、アジアの子どもたちに届けいています。これまで、モンゴルの子どもたちにギターを、ミャンマーに井戸<プラナの泉>を届けてきいます。
    このたび28年ぶりのメジャー再デビュー!ニューアルバム『愛あればこそ』キングレコードより発売中。代表曲「折り鶴/人として/ここへおいで」、新曲「愛あればこそ/夢儚い」を含む全14曲入り。品番:KICS-1364/発売:キングレコード/定価:3000円(税込)
                   
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