夕陽の名勝地
それにしても今日は風は少しあるものの上々の天気だ。気持ちがいい。澄み渡る空と海。なんとすがすがしいのであろうか。海から戻ってきた僕らは、遅い昼飯を食うことになった。
陸の上では心地よい風も海上ではかなりのものだった。身体はすぐに冷えきってしまうしガタガて震えてしまうほどである。少しばかり風が、これが海上では結構寒い。舞い上がった水しぶきが身体に降り掛かる。これも寒さの原因のひとつだろう。
海ではたくさんのクジラを眺めることが出来たからとっても満足しており、とっても楽しかった。。しっかしデカイよなぁ〜。。。
そんなこんなでここに戻ってきたのである。
ボートをつなぎ止め、前浜からだと歩いてもすぐに集落を抜けてしまう。せいぜい10分だ。ぶらぶらしながら 集落の端の方にあるまもるの家に行って、そこで午後の時間をゆっくりしようということになり 前田でちょっとだけ買い物をして、コーハツからも食料を持ちだしてやってきた。
そこいらにある石ころやらゴミを集めてきて、即席のテーブルとイスをこしらえる。お気楽だなぁ。。安物の焼酎でもチビチビやりながら、のぉんびりとした時間を流していく。
気分も良くなってきた。 ゆっくりと風が通り抜けていき、木々がざわめく。メグロ達は相変わらず、チュンチュン!っと愛嬌を振りまきながら すぐ近くまで様子を伺いにやってくる。
一眠りしよう。絶好の”まどろみタイム”である。
風が心地イイ
”そうだ! 今日なんかはぁ夕陽なんか、い〜いかんじじゃぁないかな”
しばらくの”まどろみタイム”の後に まもるが言いだした。
そうだな、、夕陽でも見に行こうぜ!
母島の部落や道は、そのほとんどが島の西側につけられている。そのため朝日は見ることは大変だ。しかし夕陽となれば あっちこっちに眺められるポイントがあるのである。名前からイメージすると やっぱり”夕日ケ丘”っと”新夕日ケ丘”がしっくりくる。観光地の様だしガイドブックにも載っているから、きっと良いに違いない。だが、、ここで夕陽を眺める観光客は見たことはない。まぁ あんまり僕は行かないからね。ここは少し高い場所にあるので、大きく広い海に沈む夕陽を眺めることが出来る。この辺りにはメグロも多くいるから、のぉんびりと過ごすにはもってこいだ。丁度道端にシェルターやらベンチがある。道はそんなに広くはないので駐車場には気を使うかな。当然 母島を代表するサンセットポイントだが、チト部落からは遠い。北進線を北港に向けて進み、桑ノ木山の手前、、西浦の崎のカーブの続く坂道を登らなくてはならない。ちょっと歩いては行けないくらい遠いのである。
それからヘリポート。ここもなかなかイイ。クジラのブリージングでも眺めながら、時間をながせばいい。御幸浜のちょっとした公園のシェルターもいいなぁ。あそこはお気に入りの場所だなぁ。それからね、、、当然鮫が崎。乳房山の登山道の途中にも 数箇所、これがイイ場所があるんだよ。ただね、乳房山の登山道の途中で夕陽を眺めるということは 当然下りは暗く成ってしまうことに成るから、ヘッドライトは持っていかなくてはならないよ。空は夕陽の時間が過ぎても一気に暗くなるわけではないのだが、ジャングルの中は うっそうとした葉に被われているから、思いのほかすぐに暗くなるんだ。ライトがないと歩けないような場所もあるし、危険だ。ボッカの帰りに 良く回って見に行ったなぁ。
他にもあるよ。
小剣崎山もいい。すぐ行けるし、、
”あるんだよ。お前ら〜 知らないトコがあ〜るんだヨ!”
っと まもるが言いだし、、、これから行こうゼッっと即決したのであった。
北進線を暫く行き左手に入る林道?が出来上がっている。”夕陽の新名所!”っとカンバンができているのだが、以前は行き止まりになっていた。終点は畑になっていて、わざわざ入っていった僕に”ああやってカンバンだしておけば、誰か騙されてはいってくるかなぁ〜と思って 立てておいたんだ!”っと 大笑いされた思い出がある。 今はこの林道が途中から分かれて 漁港の漁協の冷蔵庫の辺りにまで新しい道がつながっており、途中 旧海軍省の跡地などを通りながら抜けられるようになっているのである。
まだ新しいコンクリートの道は 綺麗に出来上がっている。
目の前にはシホンが見え、サンセットにはもうしばし時間が有りそうだ。雲の感じがいい。綺麗な夕陽が見られそうである。
思い思いに自分のお気に入りの場所を見つけて”その時”を待つことになる。勝手気ままってヤツだ。
時間はゆっくりしていて、なかなか”その時”はやってこない。
持ってきたビールをプシュっとやり、チビチビやりながら 時間を流していく。
”寒いな!” この場所は眺めもよいが風当たりも悪くはない。
”ションベン、ションベン!”
”あ〜 こないねぇ なかなか”
身体は冷えきって寒くなってきた。わずかな風よけを求めて、綺麗に仮払われた斜面を登り 木の陰に収まった。
”なぁんで ねぇチャンとじゃなくってお前何だぁ?”
”それは こっちのセリフだろ!”
まったく お互いさま、”不遇”な男3人。確かに、、夕陽を眺めに来る組みあわせとしては楽しそうではない。ロマンチックのかけらも見いだせないのである。まぁ ”やけくそ”とか”仕方がない”という言葉がしっくりくる組み合わせだ。
”おお、もう少しだなぁ〜”
パステルカラーに染まる雲が綺麗だ。どんどん色が変わっていく。海の上には、波目にキラキラと輝くものがバラまいてある。その輝きは始めは眩しいほどのものではあるのだが徐々に鈍くなり、優しくなり、、暖かくなり、、、夕陽は何度も雲に隠れながら、ゆっくりと低くなっていく。”まぁだまぁだ”っとおもいっきりじらしていたかと思うと、最後の数ミリは ”見逃しただろ!”っと言わんばかりの勢いで 少しいじわるに海の向こうに隠れていった。
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