【マスタリングのコスト】
【マスタリングのコスト】
余談ですが、現在のPCM-1630やCDR-900EというRED BOOKに記されて指定されているマシンは、全て現在では生産が完了しております。CDが これだけ多くリリースされているのもかかわらず、現状ではマスターを書きだせるマシンは他には全くありません。マスタリングスタジオでは これを持っているかどうか?で ちゃんとしてるかどうかが解るくらいです。逆にいえば これをもっていれば マスタリングスタジオと言えるのかもしれませんね。 巷には雑誌などに 安価なマスタリングスタジオのコマーシャルが多く見かけられますね。皆さんは、”どうしてサイデラはこんなに高いんだろう?”と感じると思います。こうした安価なスタジオは RED BOOK自体に準拠していなかったりしますよ。本当は音楽CDのマスターが作れないんです。ただ現状では、データーCDも音楽CDも 工場から納品されてくれば同じようにプレーヤーで掛けられる様で、リスナーとしては全く気が付かないことでしょう。特にインディーズであったりすれば、著作権コードなどの登録もしていなかったりすれば データーCDでも 聞くだけなら全く問題は出ないかも知れません。
こうした安価なスタジオでは、それこそ安価なマスタリングシステムでマスターを作成していますから、これは 値段にも影響してくるわけです。アーチストは 基本的にお金が有り余ってはいない人がほとんどですから、とても有難いのではないでしょうか? それはそれ、こだわりのレベルやポリシーの問題ですから、選択肢としては間違いではないと思います。
では、本格的なマスタリングスタジオは 何故そんなに高いのでしょうか? 単純にロケーションの問題もあります。マスタリングスタジオの多くは 都内の一等地にあることが多いですね。これは メジャーのレコードメーカーが近くに多いということもありますし、渋谷、新宿、青山、六本木、、、一帯は ある意味日本の音楽の中心であることから、アーチスト、インディーレーベルも多く、常に情報豊かで刺激的なエリアだからでしょうか。個人的には 郊外にマスタリングスタジオを作れば、もっと環境の良いものが出来上がると思います。高い天井、広いサウンドエリア、無停電装置も置けるでしょう。そしてなにより広い駐車場。駐禁におびえることもありません。なんと理想的な環境でしょう。ただ、音楽の持つ刺激やテンポに鈍くなってしまう可能性もあります。情報にもうとくなるでしょうね。その分、インディーズの方々にはゆっくり対応していけると思うのですが、職業クリエイターにとっては のんびりしすぎてつまらない、うざい作業になってしまいそうです。実質的に仕事のオーダーとしては かなり減ってしまうことでしょう。そうなれば、やはり値段に跳ね返ってきてしまいますね。本末転倒になりかねません。
第二には、やはり機材のコストです。
良いマスタリングスタジオでは それぞれ独自にこだわりをもっています。ADコンバーター、DAコンバーター、どれをとっても100万円を越える高価なマシンです。これを 僕の場合で数台、DAで5台、ADで2台くらい プログラムにより使い分けます。マスターのもつ”おいしいところ”を引きだすために 一番適したものを 機材選びの段階で行うのです。こうすることによって、EQや ディジタルプロセッサーによる人工的な補正ではなく、自然な補正が出来るような環境が整います。できることならEQや ディジタルプロセッサーによる人工的な補正はせずに、これだけで良いサウンドが出来れば最高なのです。
コンバーターの他にも、ケーブルやコネクター、電源といったものからアンプ、スピーカーに至るまで、全てがスーパークラスです。大抵のマシンは 改造されていますし、セッティングする場所や つなぎ方でも音は変わるんですよ。これに関してはまた期会があれば記すことにしましょう。こうして 隅々までチューンナップされています。ですから マスターの中の微妙なサウンドも忠実に再生してくれますし、ダイナミックレンジも大きくなり、それだけで イイ音に聞こえるようになります。逆に ミックスダウンの時には聞こえなかったノイズも忠実に再現してくれます。マスターの持つエラーなども、オーバーロードの歪みも、全て忠実に聞くことが出来るのです。
また、前述のRED BOOK準拠の機材を維持するためには、かなり苦しいことです。ただ、これは仕方がないんです。ただでさえ高価なこれらのマシンを 毎日よいコンディションで使い続けるのは、かなりのメンテナンスがかかります。オマケにかなり 御老体なマシンです。実際に このあたりには 本当に参ってしまいます。たいていの場合には 10年近く使い続けられているのがほとんどで、全くをもってこの御時世にナンセンスな事です。出来ることならこうしたマシンは定期的に新品に買い替えたいのですが、そういった事は一切出来ません。
現在のマスタリングスタジオでは、これらのマシンを 幾度となくオーバーホールし、メンテナンスを重ねて使い続けています。
最近では DVDやSACDといった 新しい大容量メディアもコンシューマーに提供されるようになりました。サイデラ・マスタリングでもSACDマルチチャンネルまでのマスタリングには対応させていただいています。DVDに関してはSACDからのダウンバートで96Kまではいけるので 問題ないかなとも思いますし、現実的なレベルでは プロツールスも使えます。これらのマスターに関しては、PCM-1630やCDR-900Eといったマシンでは とうてい対応できません。
これからは CDのマスターも含めて、何か別のものに変わっていく方向にあると言えます。
GENEXの様に大容量MOになるのか?コンピューターの大容量バックアップメディアのAITになるのか? はたまた 別のメディアになるのか??
これは 今の時点では不明なのです。
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