コンデンサーによって音が変わる
音響機器の中で かなりの数が使われているパーツが コンデンサーである。コンデンサーとは日本で普通に使われている言葉であるが、英語では普通キャパシタンス、キャパシターという。意図的にキャパシタンスレスを狙ったものでないかぎり かなりの数が回路中にある。おそらく この部品がはいっていないものはないのではないか?
小さなものから大きなものまで様々であり、使われているポイントも違うが、これが 回路の持つサウンドに大きく影響してくる。
つまりチューンナップする場合には、ここを変えればかなりサウンドは変わる。
ここではとりあえず、電解コンデンサー(ケミカルコンデンサー)というものを取り上げよう。
このキャパシターには プラス(+)、マイナス(-)と極性を持っている。たいていは ケースに表記されているが、”あし”が長いほうがプラスになる。使い方を間違えると壊れてしまったり破裂するので 注意が必要。耐逆電圧以内なら問題はないはずではある。
また、このキャパシターには正方向電圧にも耐電圧が設定されているので、使用する場合にはこの規格の中で使わなくてはならない。
また 使用する温度などの設定もあるので、用途や場所により選ぶことになる。
一般的にオーディオ用とされているキャパシターと一般のものは、実は大して変わらない。もちろん規格的には使い回すことが可能である。しかし、多少割高なオーディオ用は何処がどう違うのか?
見にくいが、写真の左二つはオーディオ用のキャパシターで、右は一般用。サイズは容量や規格によりばらばらだが、”あし”に注目して欲しい。実はこの”あし”が オーディオ用の方が太くなっているのであある。
これは実はケーブルというのは どんなに短くても抵抗成分を持っているので、それをオーディオ用としては気を使い、出来るだけ減らすように工夫がされている。その程度の考え方の違いではあるのだが、これが実に微妙にサウンドにかかわってくる。これはどうしてかというと、このキャパシターの足の部分の抵抗成分は回路の中に設計されてはいないからである。故に回路自体のインピーダンスや 影像係数に影響してくる。回路中にはたくさんのキャパシターが使われているので、回路自体に誤差が生まれてしまう。
同様に抵抗(レジスター)にも足はあるのだが、こちらの方は部品の数値誤差内に納まるように精度が保たれている。
オーディオ用は一般にサイズが大型になったりしているので、単純に入れ換えということが出来ない場合も多い。また、オーディオでは 真空管デバイスでないかぎり それほど回路自体の取り扱う電圧は高くならない。故に オーディオ用の高耐圧のものは用意されていない場合も多い。
このことを頭に入れて、オーディオ用のものとそうでないものを 使い分けていかなければいけない。
では、構造から見てみよう。
これは国産の一般的なキャパシター。見えやすいように少しサイズ的に大きいものにしてみた。
分解してみるとこのようになっている。
カバーはアルミなどに金属で出来ており、普通はビニールなどのカバーか、コーティングが施されている。
内部の方は、紙やビニールのようなものが巻いてある。この素材によって音にキャラクターがつき、特性も変わってくる。これを電解液に漬けた状態でカバーに入れたような形になっている。
電極近くにゴムがあり、これで蓋をするという感じ。
紙のようなものは コンデンサーの電極がある距離を保てるように、はさみこまれている。もちろんこれの精度は、キャパシター自体の精度にも大きく影響する。また、巻き方によっても特性が異なるし 巻く方向によっても変わるので、この辺りはメーカーの個性が出る。
電極自体は この写真ではグレーに写っている部分である。
2枚の電極が紙をはさみながら巻き込まれている。
良く見ると 紙の部分は電解液に濡れて、テーブルにくっついているのが解ると思う。
新品のキャパシターはかなりしっとりと濡れている。
電極をさらに剥がしていくと、最後に2コの電極は2本の”あし”にそれぞれつながっている。
ケミカルコンデンサーの場合には、だいたいこんなような構造になっている。
あとは 電極、絶縁体、電解液、”あし”そしてケースの素材と寸法などによりキャラクターが変わり、定格も変わってくる。
ここにあるのは 使い古したキャパシターだ。
この部品で約40年近く前のものである。こうなると ゴムの部分はかなり朽ちてきており、中の電解液はほとんど入っていない。開けてみると全く乾いてしまっている。キャパシターは本来の特性を発揮できず、容量は落ちてしまう。いわゆる”容量ぬけ”の状態になる。この場合には 通常なら新しいパーツに変えることが望ましい。しかし これがまた不思議なもので 必ずしもサウンドが良くなるとは限らない。絶縁不良などの状態にあったとすれば その状態は修理されるし、確かに回路としての特性は 本来持つものに近くなるはずであるのだが、そうならないことが多い。
これは何故かというと、ひとつには 既に容量が抜けている状態でのサウンドが素晴らしいと評価されているもの。また 前述の様々な部品の特性を決定づける要素が違うからである。人間の耳は意外と繊細だ。
例えばおなじメーカーが同じ特性のものを作っていたとしても、同じにならない場合もある。なぜなら、40年もの間には 生産ラインも変わってしまい生産効率も違う。まったく同じ製品精度で作ったとしても 格段に製品のバラツキは少なくなっている。また 材料に使われるものも微妙に変わっている。なかなかマニアックには難しい。
では、運よくデットストックされていた部品を使ったらどうなるか?
ラッキーにもこういう部品を使った場合にはかなり状況はよくなるはずである。しかし これも本来の回路の持つサウンドにはならない。何故ならば キャパシターは他の部品と違い賞味期限がある。だいたい 5年ほどで なんらかの特性に影響する変化がでてしまう。大抵の場合には ケースとゴムの間から電解液が漏れていく。これによりやはり、容量抜けは避けられないのである。もちろん保存状態が良ければ、この期間は延ばすことが出来る。
![]()
![]()
●久保田 麻琴
Kingrecords Webcommunication>キングレコードの公式サイト アーチストとして数々の偉業、共演、、、、そしてプロデューサーとして活躍。機材にも非常に詳しくマニアックでもある。世界中を飛び回り心地よい真音楽を世に広める、見た目は”謎の東洋人(何故か?日本人っぽくはない。)”。。。。。
著書:岩波新書1101、”世界の音を訪ねる-音の錬金術師の旅日記”は、今時レアな小さいCD付き。心地よいトラックが聴けて、お買い得。
![]()

![]()