2001年07月21日
一ノ倉沢衝立岩 A字ハングルート
夏の谷川は暑い。
何故だか理解するまもなく、山行は決まってしまった。一ノ倉出合いにもクライマーの姿は少ない。代わりに観光客やら写真家が てんこもりの状態である。折角だから一本稼いでおきたい。昨日は 凹状なんていう、幾度登ったか解らないようなルートをトレースした。
この日も暑い。
今日は衝立。A字に向かうことにする。
もう1パーティーは隣の本庄にいくようだ。上の方でルートは 一緒になる。面倒だから巻き込まれたくない。
よおし さっさと行くぞ!
中央稜のテラスに到着し、衝立沢のトラバースに入る。
意味不明の岳人ルートをフリーソロで登っていく人達がいる。巻き込まれたくもないので 少々様子を見る。
A字の取り付きは、最初の岩場のトラバースを終えた、ちょっとした木のあるところである。右手には小さな一枚岩がある。この一枚岩はホールドに乏しく厳しい。
左のブッシュの中に トレースとおぼしきが見つけられるが、ロープが木にひっかかり、良くはない。
このブッシュを抜けると小さなハングを越え、さらに右の方へ行くと、もうひとつハングが出てきて行方をふさぐ。いくらかの残置があるので どうやらここをフリーで越える様子。ラインやムーブが解りにくく、行ったり来たりしている。すると 上からロープが落ちてきた。
”うわぁ!?なんだぁ!!”
どうもさっきの岳人フリーソロ軍団のものらしい。全くふざけた奴等だ。あやうく巻き込まれて落ちるところだった。どうやら懸垂下降してくる。何を考えているのか訳がわからん。
|少し待ってもらい、ハングを右の方へ回り込むように越す。
悪い。
岳人テラスの右下のスラブ帯に出た。はて? ビレイポイントは どこだろうか? 草やらの残骸の散乱したスラブは結構悪い。一難去ってまた一難。 草は結構延び延びと茂っているので、その影になり ルートは良く解らない。残置ピンはなし。
結構上の方まで行き、やっとこビレイポイントを見つけた。
2ピッチ目は、このスラブから凹状部を行く。雲稜ルートの1ピッチ目の終わりと同じくらいの高さまでひっぱる。それほど長くない。
3ピッチ目は悲惨である。(@@^)
見た目にはホールドも大きそうで 簡単そうなのであるが、岩は脆く浮き石だらけ。どうやら崩壊しているようである。残置ピンはほとんど無い。情けない位細いブッシュに気休めのランニングをとり 突っ込むしかない。ホールドを持てば取れる。足を置けば崩れる。どこもかしこも信用できない。
早く抜けたい。
やっと辿り着いたビレイポイントも あんまり居心地は良くない。
かなりひどいピッチである。
ここから4ピッチ目は、A字ハングの基部までのちょっとした人工のピッチ。そしてA字ハングへと順調にピッチをすすめる。
と、どうやら雨が落ちてきた。
この辺りはハングの下になるため 直接雨は当たらないが、本庄ルートの方が騒ぎだした。
見ると 本庄ルートは大渋滞。
そこそこ悪そうである。
このあと 雨は徐々に強くなってくる。
僕らはここまでとし、2回の懸垂下降で取り付きまで下った。
5ピッチを2回で下りられてしまうのだから、なんだか悲しくもなる。
雨はいつしか雷雨になり、一ノ倉出合いは濁流と化すのであった。降りてきて正解だったようである。


●山岳ガイド 木村道成オフィシャルページ
素晴らしい山々や人々との出逢いを大切に安全第一をモットーにガイドをしています。大自然から戴けるエネルギーや感動を皆様と分ち合えたらと思っています。
日本山岳ガイド協会認定上級登攀ガイド 木村道成
上高地に程近い、長野県波田町在住。ガッツあり、日本中を飛び回っています。非常に前向きであり信頼でき、それでいてとても楽しい方です。サイトは写真もとても美しい。一度見てみてください。メロンパンが大好物です。


