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       南崎



    小笠原は豊かな自然の島である。島ということはその周囲は海岸になっており、母島には少ないのだが若干の浜がある。乳房山の登山道も観光客に人気のお目当てである。乳房山周辺には珍しい植物もあるし、ハハジマメグロも多いからである。それから 登山道の入り口が集落から近いので、行きやすい。しかも山頂を挟んで ぐるっと一周回ってこられるようになっているので、なんかお得なのである。だから 観光客は乳房山に登る人が多い。

    実のところ、母島には遊歩道がいくつかあり、おそらく一番の人気は、残念ながら乳房山ではないだろう。やっぱり島といえば海。その海を近くに感じながらの 御幸浜から南京浜を辿るコース。そしてその先、万年青浜(おもとはま)、蓬莱根、っと辿り、南崎の海岸線に出るコース、これがいちばんであろうね。
    南崎へと向かうハイキングコースは、南進線の終点のロータリーから歩き始める。前浜のガジュマルのある交差点から海に向かって左手方向。南進線という路を行く。要するに島の南に向かう道路である。これを進み、評議平のテニスコートやら発電所を見送りながら さらに進んでいく。すると南京浜のすぐ近くに出てくる。暫く行くと 真っ直ぐは行き止まりに成るからここを左に、、山の方へ行く。ここは以前までのハイキングコースの入り口である。

    ここから歩き始めることも出来る。

    ここから更に ぐねぐねと数回曲がり 坂を上がっていくとロータリーになり、ここが現在のハイキングコースの始まりになる。この辺りには天然記念物の”カタマイマイ”が多いので、辺りをガサガサと探してみるといい。以前のハイキングコースより ずいぶんと先まで車道で入れるから、少し落チンになったのである。
    ところが 母島にはバスはない。タクシーもない。むろん鉄道もない。車道は通じているのに歩かなくてはならない。民宿にでも宿泊していれば、送迎してもらう方がいい。またはレンタルバイクを借りてしまうほうがいい。交通手段が不便なのである。それでも南崎の人気は高い。
    路はアップダウンの少ない路である。少ないとはいっても それなりにはある。なだらかな尾根を いくつか越えていくように進んでいく。乳房山周辺とは少し植生が違うのが解るはずである。周囲の木々は低木が多く、この辺りは乾燥しているようである。足元はからから。例の粘土質の赤土が続いている。
    歩き初めてすぐに、万年青浜へと続く路を分ける。万年青浜はシュノーケリングが出来る、こじんまりした美しい浜である。海底にマーキングがされているのである。これに従ってパチャパチャっと泳いでいけば、簡単にシュノーケリングが楽しめるのである。
    さらにハイキングコースを進めば、尾根を一つ越えたところが 蓬莱根へのトレース。これは結構解りにくかったが今もそうなのだろうか?蓬莱根は少しだけ海を渡らないと面白くない。だから やっぱり泳げるシーズンがいい。パンフレットにある様な景色を見るのは 海岸からでは無理なのである。そこいらを適当に歩けばいけるのかな?
    そういえば、こういった小さな浜辺にも きっちりとトーチカは作られていて、ジャングルの中には戦跡が今も眠っているのである。

    徐々に木々が低くなっていき、周囲はますます荒涼としてくる。周囲の山は低くなり、島の中心線のなだらかな尾根を進むようになる。この辺りからは極端にメグロやらメジロやらは見かけなくなってくる。足元を良く見れば、ヤドカリが見付かるだろう。すり鉢を過ぎる。すり鉢は 大きく窪んだ窪地である。昔はここで 滑り台のようにして遊んだというが、、、 そういう場所である。

    更に進むと小富士と南崎との分岐になる。小富士は日本の最南の富士である。南崎を見下ろすように ぽこっと出っ張っている。小富士へは分岐を左にとる。一旦下ってから鞍部に出て、ここから小富士の急登が始まる。梯子や階段が続き、一汗かかされる。 急登の鞍部から左手の踏み跡を辿ると大きな洞窟、、、トーチカの穴に出る。この穴は小富士の反対側、南崎を見下ろす斜面まで続いているので、懐中電灯を持っていけば入れなくもないらしい。一度はいってみたいのだが、ちょっと崩れそうで怖いのである。実は僕は閉所と高所は恐怖症なのだ。
    トーチカは諦め さらに急登を登っていけば、やがて風を感じるようになり 視界が開けてくる。向こう側に姉島、妹島が見える。時期がよければカツオドリも飛んでいるはずであるが、今は居ない。その代わりに別の鳥が寄ってくる。気分が良い。眼下に漁船が瀬戸を通過する。ものそごい揺れである。
    小富士には島の人達は、初日の出を見たりし二やってくる。島の部落は西側にあるから 基本的には日の出は見ることが出来ない。そう言うときには小富士にやってくれば見られるわけである。
    山頂からは南崎が美しく眺められる。母島では珍しい、白い砂浜だ。一旦戻り急登を下り、今度は分岐を浜の方へ行ってみよう。すぐに浜に出た。大きな浜である。浜を囲むように右手に南崎、左手が小富士になる。入江は波が穏やかで、絶好の遊び場になりそうだ。少しだけ泳いでみる。誰が見ているわけでもないので気にする必要はない。
    カツオドリ島は南崎の少し先端にある。そして今はそう言う時期ではないから、カツオドリはいない様子である。

    帰りは余り遅くならないほうがいい。暗くなると歩くのは面倒臭い。来た路を戻るだけであるのだが。。。。
                        

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