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「あぁっ、、、明日 富士山行ってきますわ、、」 「珍しいねぇ、、どうしたの?」 「ううん、、なんとなく。 天気良さそうだしネ!」 そう、確かに珍しい。僕が富士山に行くなんて。。いつもいつも雪訓ばっかりで、つまらない思いでしか無いし、頼まれても行かない山だ。今日 冬山装備の手入れをしていたら急に行ってみたくなった。たしか、雪も着いていたはずだ。アイゼンやら登山靴やらの諸々の装備もチェックしなくてはいけないし、ものはついでだ、、登ってしまおう。。。 、、、、、、そうだな。 最近めっきりと歩いていないから、ついでにトレーニングも出来てしまう。
そうだ、
山頂には準ちゃんがいる。正月の打ち合わせでもやらなくてはいけないし、酒でも持って”陣中見舞い”でもするかぁ、、 ううむ、一挙メリットたくさんだな!こりゃぁイイや!! |
静かだ。 須走5合目は夏の人込みはどこへやら、、すっかり自然に戻っている。
木立と紅葉が美しい。この自然を、独り占め。
「これからかい?」
おばちゃんの声が暖かく 心地よい。
「まぁ、、途中まで行ってダメなら戻ってくればいいさ。
帰りには おばちゃんに声かけてな。。。」
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1998年11月8日。 昨日ちゃんとセットしてあったはずの目覚ましが、あのけたたましい音をさせずに 起きたときには既に6時を回っていた。いつもいつも、悪者を演じてくれるのだが、僕のひどい仕打ちに いささか 頭に来ているだろうな。。やつの仕事も 大変だな。。
”こりゃぁまずいぞ!寝坊だ!”まぁ 高速を飛ばせば 2時間はかかるまい。天気はバッチシ! 急がねば、、
ところがおりしもの紅葉見物の渋滞に巻き込まれ、、、、あ〜あ。。 |
戻ってきた。 やっと、山の中。他には誰もいない。富士は気が遠くなるほど遠い。
「こんなに遠くて、着くのかな?」
とりあえず この静寂を楽しみながら、ゆっくりと足を運んでみる。
「足が重いな。やっぱりひどいわ!」
まぁ、天気は上々、あせらず行こうじゃぁないか。
何故か 山中湖が富士には良く似合う。何故なのだろうか?
初めて富士に登ったとき、山中湖は雲の中、ぽっかり浮かんでいた。
とても怖かったし、奇麗だった、、不思議だった、、今でも良く覚えている。 |
上手く行けば3時間。
下りたら城山に直行して、クライミングをしよう。
そんな思惑は見事に吹っ飛ぶ。 自然はデカい。甘くはない。
富士は遠い。
それに体調はすこぶる悪く、怠惰な自分が束になって襲ってくる。
やられたな。。辛いや。。。。
めいっぱい やられそうだ。。
5合目(2505m)発 9:00、6合目(2500m) 9:55、 |
11:30 3000mを越えた。
おかしいな。頭が痛い。高度障害の様だ、早いな。ゆっくりと、、息は吐くように、、吐くように、、そう 吐けば自然と吸えるから、、、
今度は 足がつる。。”やばいなぁ”
次々と 甘えん坊の自分が襲い掛かってくる。負けてなるものか!!と思うが、遅々として足は進まない。 くやしい。。くやしい。。
12:20 3235m。どうにもならない。足が収まるように、、休む。
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13:00 3375m。「やられた!また 足が、、」
悔やんでも仕方がない。小屋が見える。あの小屋が9合だったら イケるな。。行けるに決ってる。。
13:50 小屋に着く。希望は見事に吹っ飛ぶ。希望は希望なんだな、、
小屋にはデカデカと 8合5尺の文字が、、そう、見覚えがある。
3545m もう少しだが、、時間切れか、、
「でもまだ、1時間あるじゃぁないか!!」 |
そうだ、、行ける所までは行こう。
歩きだしてみた。足はまた 具合が悪い。こちら側はすっぽりと山頂の陰になり、一気に冷え込んでくる。寒い。。。アイスバーンの雪が出てくる。手には 何回と無くヤバい場面に一緒に居てくれたピッケルが、、、新参者のアイゼンには申し訳ないが この場は登場して欲しくない。お前も近い将来、僕にとって”そういう存在”になるだろうし、、
遠く見えていた鳥居は15分でたどり着く。ふと上を見ると大きな小屋が 輝いている。
「あそこが山頂だわ、、じゃ無ければ光ってるはずがない」 |
15:00。 着いた。山頂だ。
長かった、さすがに、、、。
僕にとって 25年ぶりの山頂だ。そう、前に登ったのは小学校の時。
家族で登った、、雷の中。 ”こわかったなぁ”
今は、、穏やかで 恐ろしいくらい奇麗だ。。 15分、15分でイイ。 贅沢をしよう。。 |
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